2019年8月22日木曜日

Wargame Red Dragon の歩兵について

Wargameのデッキ編集で歩兵のメニューを初めて見たときはそのバリエーションの多さにすこしギョッとするだろう。





Wargameでは歩兵は必ず輸送ユニットとセットなっている。そのためさまざまな歩兵と輸送ユニットの組み合わせが存在するのでその数はとても多い。1つユニットを配置するともう一つユニットがくっついて来るという訳で、この手のRTSゲームではわりかし珍しいことかもしれない。この歩兵と輸送ユニットで1つという扱いがWargameをとっつきにくく、難しくしている要素の一つだと言える(他に主たる障壁を挙げるとしたら視界・攻撃の範囲がわかりづらくどの程度の間合いが良いか分からないという点)。

このことは2つの課題をプレイヤーに突きつけるだろう。

一つはどの歩兵と輸送ユニットを選べばいいのかという点。歩兵ユニット自体さまざまな種類があるのに加えて輸送ユニットも含めると能力・価格帯とも千差万別で一体何をデッキに取り込めばいいのか初心者は途方にくれてしまうだろう。

もう一つは操作が煩雑になる点。単一のユニットであれば、
A地点に移動→ドンパチ
で済むが、歩兵+輸送ユニットの場合
A地点に移動して歩兵を降車→歩兵はB地点に移動・輸送ユニットはC地点に移動
と操作量が格段に増える。しかもA地点は歩兵の降車に安全な地点、B地点は歩兵の戦闘に最適な地点、C地点は輸送ユニットの戦闘に最適な地点とすべての地点の性格はまったく異なる。それぞれの最適な地点を見極めて首尾よく上の操作を実行するのはパパパパパウワードドンとゲームが開始されて、多くのユニットを操作し敵の長距離砲撃や空爆を警戒する中、至難の業といっても大げさではないだろう。

一体初心者はこの課題をどうやって克服していけばいいのだろうか。筆者のアイディアはゲームになれるまでは歩兵をメインとして重視して、輸送ユニットは歩兵を前線に送るまでの単なるタクシーとして運用する方法を行うことである。
歩兵と輸送ユニットの組み合わせは価格の面では以下のように大別されるだろう
A 安価な歩兵と安価な輸送ユニット
B 安価な歩兵と高価な輸送ユニット
C 高価な歩兵と安価な輸送ユニット
D 高価な歩兵と高価な輸送ユニット
基本的には価格が高いほどユニットは優秀なので、1つあたりの最高の戦闘力を発揮できるのは高価&高価なDだ(特殊部隊+IFVまたは重武装ヘリなど)。しかし歩兵・輸送ユニットそれぞれに気を配らねばならず操作が煩雑になるためゲームになれていなければどちらかが十分に価格分活躍しないうちに知らないうちに死んでいたということになりやすい。そうなるとどちらか一方は諦めてメインとする方に専念するということになるが、メインとするのは歩兵をおすすめしたい。戦闘能力について見れば輸送ユニットは他のユニット(戦車、戦闘ヘリコプターなど)で代替可能であるのに対し、街や森に浸透しそのステルス性を発揮して有利に戦闘できるのは歩兵のみに与えられた能力だからだ。歩兵ユニットを使う以上その特色を活用していきたい。また一般に輸送ユニットは歩兵より捕捉されやすく遥かに撃破されやすい。その意味でも歩兵が主で輸送ユニットは従としよう。以上の理由から初心者のデッキでは安価&安価のA(一般歩兵とトラック・APCなど)と高価&安価なC(ショック歩兵とトラック・APCなど)がユニット選択の基本的な指針となるだろう。

最初にマスターするべき操作は以下だ。
A地点に移動して歩兵を降車→歩兵はB地点に移動
輸送ユニットを撃破されないよう移動させて、歩兵を降ろし、歩兵を移動させるということでこれだけでも大変だ。輸送ユニットはその場に乗り捨ててしまおう。置き去りにされた彼らは死んでしまうだろうが安価なので仕方がない。注意が分散し歩兵ともども失うよりはましだ。
さて、A地点やB地点とはどこだろうか?歩兵が活躍できるB地点とは街や森だ。FPSゲームでもそうであるように開けた平野はとても危険なので当然避けたい。問題はA地点だ。歩兵は足がのろいのでできる限り輸送ユニットで前線近くに送り届けたいが、その分敵の攻撃範囲に入って歩兵もろとも撃破される可能性が高まる。ちょっと色気をだして最前線に近づいため両者とも失ったという苦い経験はよくあるだろう。視界・攻撃範囲の間合いがなれないうちは分からないし、輸送ユニットのスピード・地形による遮蔽など様々な要素があるので降車の地点・タイミングはとてもデリケートな問題だ。基本的には敵味方の本陣の中間が前線になるのでその近くで降ろしたい。しかし危険なら手近な街や森に逃げ込んで迂回しながら目的地に近づこう。何度もプレイしていればここまでは安全という間合いがわかるようになる。

もし慣れてきたら
A地点に移動して歩兵を降車→歩兵はB地点に移動・輸送ユニットは後方に移動
させよう。輸送ユニットを前線に放置せず、適当な安全な後方(本陣より)に逃がすのだ。輸送ユニットは戦闘には参加できないかもしれないが、安全地帯に逃すことで生存率が高くなるし、一旦逃せばあとは歩兵の方に専念できる。輸送ユニット(車両)の予約ショートカットでいうと、ファストムーブ(筆者はFキーの設定を推奨する)+目的地クリック → Shift + 降車(デフォルトでUキー) → Shift + ファストムーブ+目的地クリック だ。ここまでできたら初心者は完全に脱出だ。

初心者ができる歩兵と輸送ユニットの選択および行動について基本的なところを知ったところでそれぞれのユニットについてすこし詳しく見ていこう。
歩兵というのはどのRTSでもそうであるように攻撃範囲が狭いがその攻撃は強力で開けた場所でなく閉所で活躍するというのはWargameでも基本的には一緒だが、Wargameでは歩兵の種類によって大きく役割が異なる。そのため森の中で敵の戦車を見つけたので近場の適当な歩兵をぶつけるというのは常に成功するとは限らない。
特殊部隊は歩兵の花形と言えるだろう。もっとも高価(30円前後)で練度が最高で武装も強力で移動も速い。1vs複数でも勝てる実力がある。相手を短い時間で破壊するので戦闘時間が短く砲爆撃が始まる前に仕事を完了できる。また練度が高く移動速度が速いので不意に敵と遭遇しても不利なら逃げることができる。神出鬼没で活動しているだけで相手には防衛のため多くのリソースを割かせることができる。一方で回避や耐久値は一般の歩兵と変わらないので砲爆撃であっさり死ぬリスクもあり、また同様に開けた場所ではいい的だ。高価であり出撃できる数も少ないので、繊細に扱わなければならない。
安歩兵(10円前後)は特殊部隊とは対象的だ。彼らはやる気がないし、おもちゃみたいな鉄砲を振り回して森の中をノロノロ歩く。持っている対戦車武器はせいぜい軽装甲車を倒せる程度だし、特殊部隊と戦闘になるとあっという間にパニックになって逃げることすらできず(そもそも足が遅いので追いつかれる)撃破される。とはいえ、ステルス性は十分で森の中に溶け込めるし数を生かして相手をタコ殴りにできれば勝機はある。安歩兵は側面・後方の警戒や怪しい場所に肝試しに行かせるのに最適だ。死んでしまうかもしれないが戦争なのだ。
ショック歩兵(20円前後、練度がShock)は安歩兵と特殊部隊の中間的な存在だ。ほどほど強く、ほどほど速い。依然としてサシでは特殊部隊に撃ち負けるが前線で力を合わせて十分戦える実力があり、対戦車能力では特殊部隊に匹敵することもある。出撃できる数も安歩兵に準じて多く安定した戦闘力を期待できるだろう。
以上が10~15人編成のメインの歩兵で、小銃・対戦車兵器・分隊支援火器を装備し対人対車両むけの歩兵ユニットだ。一般には練度が高いほど強い。また小銃の命中率と連射速度の掛け合わせた値が大きいほど対人が強いことを示す。同価格帯のなかで突出して命中率が高い歩兵がいればその連射速度は低いはずだ。また街の同ブロック内での戦闘はCQC属性があれば有利だ。
次にサブ的な役割の歩兵を見ていこう。
対戦車歩兵は長射程の対戦車ミサイルを装備している。一見街や森の端において隠れながら撃てば敵を寄せつけないことできるように思えるがミサイルは弾速・連射速度が遅い上、ユニットの耐久力も低いので扱いは難しい。威嚇でなく撃破を目指すのであればポカポカ撃たず最大射程での発射は控え、特に敵の装甲が厚い場合は敵が側面や後方を晒すまで待つのが上策だ。筆者は対戦車ミサイル系統はレーダーを利用する対空兵器に次いで、武器のオンオフ管理が大切なユニットだと考えている。
対空歩兵はMANPADS(携帯対空ミサイル)を装備する。耐久力は低くミサイルの射程も本式の対空車両には劣るが森林や山のてっぺんなど対空車両の進入が困難な場所に展開でき相手に不意の平手打ちを食らわすことができるだろう。対戦車歩兵同様射撃後は位置を変えたい。
火炎放射兵は対人に特化した歩兵だ。とはいえ、その真骨頂は相手にダメージを与えることでなくパニックにすることにある。BBQをしてもグリルは焼けないように装甲がある相手に対しては不利だ。また火炎放射器は射程が短めな上に火炎放射兵自体足が遅く接近戦にどう持ち込むかが問題になる。
支援歩兵は対人攻撃も可能なロケット砲や無反動砲を装備していて、他の歩兵をアウトレンジで攻撃したり、対戦車歩兵以外の歩兵では手を出せないすこし離れた車両を攻撃できる。交戦距離と接近戦が苦手という点でメインの歩兵の攻撃を支援することが仕事になるが、車両よりもステルスがあり歩兵よりも攻撃範囲があるので相手の不意の場所から攻撃も可能だ。とはいえ総じて攻撃力・範囲とも中途半端で歩兵の中では一番扱いが難しいだろう。サブの歩兵の中では火炎放射兵と並び筆者のお気に入りのユニット。
サブの歩兵は耐久力が低めでメインの歩兵以上に位置の露見が死につながる。攻撃後は移動して位置を変えたいが困ったことに足が遅い。そのため活動範囲は防御ボーナスが期待できる街がよいことが多い。平野の植木に潜むときは特に注意深く行動しよう。

次に輸送ユニットについて見てみよう。疲れた人は飲むヨーグルトを飲んで休憩しよう。
輸送ユニットは移動形式でタイヤ(装輪)、キャタピラ式(装軌)そしてヘリコプターに大別される(ここでは揚陸艇は省く)。タイヤ式は路上での速度が速い。そのためタイヤ式とキャタピラ式のユニットが同じ距離から道路を使って目的地に向かうと先にタイヤ式が到着する。目的地が街であれば先に街を確保できるということでありこの速度はアドバンテージだ。路外の速度はユニットによる。5円の非武装トラックは路上は速いが路外ではとても遅く、特に森では歩兵のほうが速いほどだ。10円以降だと路外でも素早く移動できる。一方キャタピラ式は路上速度ではタイヤ式に劣るものの、路外では5円でも最低限の速度を確保して、10円出さないと路外ではまともに動けないタイヤ式より勝っている。またタイヤ式より装甲が厚く武装も充実している。両者とも渡河できるかも重要だ。普段はあまり利用しないかもしれないが橋を渡るのが危険だったり遠くて川を横切りたい場合、あるいは海水浴を楽しみたいときはこのゲームでは歩兵は全く泳げないので渡河できる輸送ユニットが必要になる。渡河できるユニットがなければヘリを使うしかない。ヘリコプターの利点は速度が早く、川や森などの障害物を飛び越せることだ。そのため僻地へのユニットの輸送に向いている。ただし着陸場所が必要で歩兵を下ろすのに時間がかかるのがネックで、特に安ヘリの場合は速度もそんなに速くなく近場が目標の場合道路を伝ってきたタイヤ式と歩兵の展開までの時間はトータルではあまり変わらないということもある。また上空を飛ぶので見つかりやすく、地形の遮蔽を利用しての移動も難しいので敵が展開しつつある場所では迎撃されやすい。ヘリ独特の慣性力(方向転換・停止に時間がかかる)も扱いを難しくしている。総じて撃墜を避けれれば僻地・長距離の目的地への降下作戦ではヘリコプターが有利だろう。
輸送ユニットの武装は様々だが安い輸送ユニットは攻撃力も低く輸送後は扱いに困るかもしれない。その場合は前述のように後方に退避させたり、あるいは安歩兵のようにもしかしたらが敵が浸透してくるかもしれない場所に置いておこう。彼らは5円や10円の警報ブザーとなり、あなたに敵がこっそり侵入しようとしていることを報せてくれるのだ(あなたが彼らの悲鳴に気づけばだが)。

最後に森での歩兵の戦闘を見ていくことで歩兵と輸送ユニットの役割への理解を深めよう。
まず説明していなかったAPCとIFVの違いを知ろう。両者とも歩兵を輸送する点では同じだが、APCが申し訳程度の装甲と機銃装備なのに対して、IFVはより装甲が厚く武装も機関砲や対戦車ミサイルなど充実してる。ユニットによっては低級戦車を相手にできるほどだ。そのためIFVはAPCに対して有利であるがその分価格も高く20円以上となる。そう聞くと読者の中には輸送ユニットはAPCに徹して歩兵投入の価格を抑えつつ必要に応じて戦車を追加するほうがIFVを採用して歩兵のコストを高くしてしまうよりもよいと感じる人もいるかも知れない。確かにIFVの主砲は戦車砲の射程に劣るが、歩兵に随伴する以上閉所での戦闘が多く、またIFVの主砲は連射が効くので単発式の戦車砲より扱いやすい。またヘリへの攻撃力もある。そのため同価格帯ではIFVにも十分活躍の余地はあるのだ。また移動形式について言えばキャタピラ式は重装備で一旦戦闘になると強い一方、タイヤ式は移動が速く戦闘への参加・離脱が容易という違いがある。
さて森での戦闘はその場所により大きく2つのパターンに分かれる。一つは森外縁部であり、もう一つは森内部だ。ここで言う外縁部とは森の外からの車両の直接攻撃が届く範囲を言う。森の外部から森を攻めようとする場合はまずこの外縁部の確保が必要になる。攻める側は歩兵を前面に押し立てて進軍し、森外縁部に潜む敵の攻撃を誘発してその位置を露見させる。そこを戦車・APC・IFVなどで攻撃するのだ。守る側は接近する敵の歩兵をAPC・IFVなどで(さらに敵が接近した場合は歩兵で)倒して敵の攻撃の頓挫を狙う。さらにあわよくば敵の車両も撃破したい。武装ヘリがあれば双方で活躍するだろう。つまりこの時点では敵味方の車両が大きな役割を担う。守る側は十分な車両がなければ外縁部は捨てて内部に逃げ込んだほうが良い。
攻める側が外縁部を確保したら次に内部の確保が必要になる。ここでは木々が茂り射程は大幅に制限されるため車両やヘリは役に立たず歩兵が主役になる。攻撃側が十分な歩兵を用意できていなければ攻撃はここで頓挫するだろう。内部では歩兵は練度が劣るほど陣形を形成して互いに助け合って多数対少数の有利な戦闘に持ち込む必要がある。一箇所に固まっていると一つのユニットが攻撃を受けるとみんなパニックになってしまうのである程度間隔をとって敵の攻撃方向に対し横隊を形成するのだ。敵に中央を攻撃させ、両翼で包囲するのが理想的でこのために敵の進路を正確に予想する必要がある。筆者は好んで安歩兵と火炎放射兵のグループを森に投入するが敵を包囲できれば特殊部隊相手にも善戦できる一方、翼端から攻撃を受けるとすぐにパニックになり足の遅さが災いして陣形の再編もままならず崩壊する。森の内部では歩兵は散開しつつ互いに協力できるようにするのが肝だ。

本稿は以上。筆者はあなたがWargameで様々な歩兵と輸送ユニットの組み合わせを試し、巧妙な戦術によって敵をBBQにするためにこの記事が役立つことを願っています。

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